更新履歴

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【  2017年01月  】 

第十三章(21)

第十三章

2017.01.21 (Sat)

夜半、帝都住民の三分の二は寝台から叩き起こされた。生木を裂くようなばりばりという音のあと、巨人の軍団が進軍太鼓を打ち鳴らしたかのような轟音に鼓膜を破られたのだ。 後宮ではウルバインが夜着裸足のまま露台〔バルコニー〕へ走り出、真っ赤に染まった西の空に目を遣った。「陛下、大事〔だいじ〕はございませんか?!」 夜伽の小姓と近衛騎士が走り寄る。「あれは三の郭……西区のほうだな」 夜着を脱ぎ軽装へ更衣していると...

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第十三章(20)

第十三章

2017.01.15 (Sun)

一の郭へ帰りつくや否や、皇帝は私室にこもった。「〈霧が丘〉の大僧正にお叱りでも受けたのでしょうかねえ?」「そうではない。これを見よ」 マリウスの言に、グラシャスが皇帝のあとを追って届けられた書状をひろげる。マリウスは興をさかしたように片眉をあげたが、何も口にしなかった。 神託を見せられたガラテアも眉をひそめた――が、討伐部隊の編成について宰相に尋ねられても、「陛下の御下命あらばいつでも」と答えるにと...

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第十三章(19)

第十三章

2017.01.14 (Sat)

(このようなとき、アストリッド女神なら、何か良い智恵を授けてはくれぬだろうか――) マリウスにも、ガラテアにも、相談しようものなら反対されることは目に見えている。否、相談すら無益だ。父皇帝でさえ抗い得なかったほど、〈霧が丘〉の権威は絶対であった。かといってこの損な役回りを、ほかの騎士に命じて己は口を拭ってすますことはできぬ――(こんなことなら、おまえは皇帝にふさわしくないから退位しろ、と言ってくれたほ...

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第十三章(18)

第十三章

2017.01.09 (Mon)

神苑は吹き抜けで、呼びとよむしかけなど何もありはしないはずだのに、託宣の声は殷々と響いた。「雷鳴は怒りの叫びのごと、また長雨〔ながめ〕は嘆きの涙と知りおくべし。ことさらに憂いの深きは、それすなわちまつろわぬ者どものため」 いよいよお役ご免か、とウルバインは思った――が、「鵞鳥のいかに声高に叫ぶとも、鷲のひと声に敵〔かな〕いはせぬというものを――その身にふさわしからぬものを求めるやつばらには、よこしまな...

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第十三章(17)

第十三章

2017.01.08 (Sun)

控えの間の反対側の扉からは中庭へ出られる。 馬の三、四頭は調教できそうなほど広い庭園には、しかし花のひと株、木の一本植えられているわけでもない。一面、こまかな白い玉砂利の敷き詰められているのが目に痛い。中央には幅二尺はある御影石の祭壇が鎮座ましましていた。 このときのために境内で養われている大角羊が屠〔ほふ〕られ、樫の枝を山と積んだ祭壇の上で雷帝に捧げられた。肉の焼ける匂いに、ウルバインは三の郭の...

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