更新履歴

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【  2017年02月  】 

第十三章(28)

第十三章

2017.02.26 (Sun)

人も、馬も、全員が飛び上がった――驚いてではない。足下〔あしもと〕が激しく揺さぶられたためだ。「――木が!」 警告の叫びが発せられるとほぼ同時に、ウルバインは棹立ちになりかかった馬を脚と手綱で御しながらふりかえり、叫んだ――「全員、そのまま走り抜けろ!」 その声が届いたか否かはあやしかった。 瞬間、すさまじい音をたて山肌の木々が雪崩をうって下ってきた。 それでも近衛騎士たちが金縛りに遭っていたのは一瞬で...

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第十三章(27)

第十三章

2017.02.25 (Sat)

遠雷が聞こえた。「確実にひと雨くるな」 ウルバインの乗馬が耳をぴんと立てた。「心配するな、まだ遠い」 頸〔くび〕を叩いてやる。「どうも落ちつきませんな。先日の件があったためでしょうか、馬たちも常よりは昂ぶっておるようで――や、おかしいですな」 近衛騎士は前方に目を遣〔や〕った。「どうした」ウルバインも馬をゆるめる。 剣戟にも怒号にも怖気づかぬよう訓練された軍馬が、険路の入り口近くで勝手に足をとめ、し...

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第十三章(26)

第十三章

2017.02.19 (Sun)

カルノーの地へ至るには、渓谷を通らねばならぬ。皇帝の御領林の南端で、道の両側には雑木林が広がる。 先導に続いて木立のなかへ馬を進めると、時節柄、いつになくひんやりとした空気が駈足で汗ばんだ人馬の首筋を撫でた。馬が気持ちよさげに鼻を鳴らす。 一行は少し足をゆるめた。 いつもは縦横に鹿を追う森である。しかし、いまだ人へのおそれを知らず、好奇心旺盛な黒い瞳でこちらをうかがう仔鹿の姿もなく、木立をにぎわす...

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第十三章(25)

第十三章

2017.02.18 (Sat)

「陛下、そろそろ」 隊長のひとりが耳打ちする。ウルバインがわざわざ、南の〈銀〔しろがね〕の門〉を抜け、都の南西四分の一を回る経路〔ルート〕を選んだのは、雷帝の瞋恚というやつが実際にもたらしたものを目に焼きつけておきたかったからにほかならぬ。 焼け焦げた〈六花の門〉から出入はできぬため、おかげで彼らは三の郭の〈梟〔ふくろう〕門〉から大回りをして〈苧麻街道〉へ向かわねばならない。最短距離をゆくのに比べ...

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第十三章(24)

第十三章

2017.02.12 (Sun)

騎馬の一団がゆく。 燃えさしをとりかたづけていた人々がふと手を止めて見やる。「誰、あのお貴族様は?」「ちょいと遠くてよく見えねえなあ……二の郭のお大尽が、火事場見物か施しにでも出てきたんじゃないのかい。こっちは猫の手も借りたいっていうのに。まったく物好きなこって」「だんな様、お恵みを」 物乞いの幼子が、教えられたとおりによちよちと両手をそろえて差し出すのを、「ばかっ、近づくな、あれは皇帝だ」 同じく...

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