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第十一章

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 メッサリナは悲鳴をあげかけ、あわてて口をふさいだ。
 ユディウスは転がって一撃をかわした。が、彼に立ち上がる隙を与えず、二度三度と、重い鋼が空を斬る音がする。
 軍馬の蹄にかけられ踏み殺されるなどごめんだ――ユディウスは必死で、ひとつかみの砂をダレッツォめがけて投げつけた。馬が驚いて後肢で立ち上がり、かろうじて剣の切っ先が逸れる。
 汗でひりひり痛む目で、ユディウスは落ちた剣を探した――
――あった!
 横っ飛びにそれに飛びつき拾いあげる。
 彼が剣を支えに身を起こしたときには、馬を制したダレッツォが、真っすぐに、彼の脳天に一撃を加えるべく突き進んでくるところだった――
 ユディウスは急いで地面から剣をひっこぬくと、砂を蹴立てる軍馬の前脚に水平に叩き込んだ。
 衝撃で剣は吹っ飛び、脇によけたユデイゥスも砂の上に倒れ込む。頭上で「うおっ?!」という吠え声のような叫びが轟き、次いで、やわらかく重い肉の塊と、金属の塊が地に落下する音。
 しばらくは誰も立ち上がれずにいた。
 ユディウスの両腕は感覚がなくなり、膝の震えが止まらぬ。百歳の老人のように震えながら膝を立てる己の様子を、無様だと知覚することすらできない。ひたすら己を叱咤して立ち上がったのは、ただ生き延びようという闘争心からだった。
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