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第十一章

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 そこで今度はリクニス神の力を借りた――バロキア領内をはじめ、国中の商業ギルドに助勢を乞うたのである。
 助けを借りるといっても、大上段に振りかぶったわけでも、ひたすら腰を低くしたわけでもない。商人たちには、金銭的援助の見返りとして、工期完結予定と同等の向こう十年間、直轄都市における取引税の免除を申し出たのだ。これには、以後、工期が一年短縮されるたびに、その倍の年数、免税期間を延長するというおまけがついていた。
 ギルドの長たちは大公の提案を容〔い〕れた。
「思いのほか早く話がまとまって助かった。駄目ならハーラルトに頼もうかと思っていたのだが」
 ユディウスはリーンサル屈指の豪商の名をあげた。
「ですがそれでは、ユディウス様ご自身の負債が増えるばかりではありませんか」とレッジェーロ。
「私の借金など、私が大公になった時点で半分は返し終わったようなものだ。残り半分を返すために、いつの日か、そう遠くないうちに、あの御仁とはまた会いたいとは思うがな」
「ギルドの長たちが大公殿下のことを何と噂しているか、ご存知ですか?」とマルセロ。
「知らんな。何と?」
「王位にある商人、だとか」
 このたとえにユディウスは声をあげて笑った。
 年嵩の秘書官たち、まだ慣れぬ祐筆役たちが退出したあとも、彼の執務室は、深更まであかりが消えることはなかった。夜更けや朝方に急に呼び出されても駆けつけられるよう、城のなかに居室を与えられる近臣の数も多くなっていった。
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