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第十二章

第十二章(3)

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 鳥の目で見ると、帝都は一の郭を核として、それを取り囲む二の郭を真珠のように抱えた、いびつな牡蠣に似ている。一番外側の三の郭は、丘や都の南東を流れる河など地勢のためにあちこち迂回せざるを得ず、ほかの郭ほどの真円にはなりようがなかったのだ。
 三つの郭にはそれぞれ、四つ、六つ、九つの門が設けられている。
 一行は都大路を南へ駆け抜け、〈破軍の門〉から出た。凱旋パレードにも使われる大通りはきれいに石畳で舗装されており、両側には貴族や豪商の邸宅が建ち並ぶ。昔ふうに塀をめぐらせているところもあるが、鉄柵で囲ってあるところからは庭園に植えられた樅〔もみ〕や楓が枝葉を伸ばし、道ゆく人々に涼しげな木陰を提供している。
 三の郭へ続く門をくぐると、さすがに道幅は狭くなった。幅員自体は変わりないのだが、店屋の庇〔ひさし〕が往来にはみ出さんばかりにひしめき、なかには堂々と路上に店を広げている者もある。店〔たな〕の種類も、二の郭は宝飾品や注文服の仕立て屋が、ぴったり扉を閉ざし、知る人ぞ知る……といったふうに営業しているのに対し、こちらは高級店と居酒屋の中間クラスの店が軒先にまで椅子と長卓を並べ、おのぼりさんを誘い込んでいる。
 薬種やちょっとした小間物を扱う可愛らしい店もある。市が立つのは都のもっと東のほうだが、このあたりは二の郭の屋敷で働く女中や召使たちが日用品を買い求める場所でもあるのだ。
 目指す先は郊外の練兵場であった。
 帝都ではその時々の選帝候家に仕える武門の貴族の何門かが、自身の騎士団を率いて滞留している。その鍛錬風景を見に――見るだけですむはずがなかったが――行ったのである。
 意に違わず、夕刻を告げる鐘が耳に届いた頃おい、皇帝はようやく剣をおろしたのであった。そのころには、急にお供を命ぜられた近衛騎士はとみれば、五人全員が、練兵場の砂地に黒く汗を染み込ませ、剣を杖にし荒い息をついている態だった。
 とはいえウルバインのほうも負けず劣らず、亜麻の肌着は汗で張りつき、日毎〔ひごと〕小姓が整えている長い黒髪も、櫛など入れたことがないかのようにもつれ、からまりあっていた。
 彼はシャツの襟元をゆるめ風を入れていたかと思うと、くるりと踵をかえした。
「陛下、何処〔どちら〕へ?」
「風呂へ行く」
 皇帝の答〔いら〕えに、近衛騎士たちは我先にと、黒い竜の紋章が染め抜かれたサーコートを脱ぎ捨てた。
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