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第十二章

第十二章(20)

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 女の、むっちりと肉のついた真白い太腿〔ふともも〕が万力のようにマリウスのこめかみを締めあげた。熱気のこもった天蓋のなかにみだらな叫びが轟いたが、両耳を押さえつけられているマリウスにはまったく聞こえてはいなかった。
 長く続いた叫びは尾を引いて薄闇のなかへ消えてゆき、それにともなうように女の脚からも力が抜けていった。
 マリウスは寝台のわきにくったりと垂れ下がった両脚のあいだから身を起こすと、愛液でべとべとになった顔を絹の上掛けで拭った。
 そうして、いまさっきの快楽の余韻にまだひたっている女の横へするりとすべり込んだ。
「――わ」
 女は荒い息のまま、情人の顔を引き寄せ、官能の充足に対するおかえしといわんばかりに、淑女に許されているうちで最も深い口づけをした。
 赤みがかったゆたかな金髪がまろやかな肩を覆い、幾多の愛の誘いに対する気の利いた返答と感極まった喘ぎを紡ぎ出す唇は薔薇色だが、かの女はマリウスより十四は年上で、カールさせた睫毛にふちどられた目尻にはこまかな皺が刻まれ、ふくよかな腹まわりには羽根布団に劣らぬたっぷりした脂肪がのっていた――が、やわらかな蜜蝋燭のあかりの下〔もと〕では小じわなど何ほどのものでもなかったし、愛戯に対して打てば響くような応〔いら〕えをかえすのも、小娘の及ぶところではない。
「からだが月まで飛んでいくのじゃないかと思ったわ」
 目尻にほのかに朱をにじませ、汗でまとわりつく髪を払う女の言葉を、マリウスはにこにこと聞いていた。
「あなたのお望みならいつでも」
「可愛い男〔ひと〕」しかし女はふと我にかえったように、
「でもあなたとこうしていられるのもいまのうちなのだわ」
「僕もです、もしご主人が」
「あら、主人などどうにでもなるわ。今夜だって、ブラキストン侯爵さまをお招きしての観月会だとかで出かけているんですもの。なにしろ主人はあのかたに頭が上がりませんのよ」
 女は貴族的に整った鼻をこころもち上向かせた。
「あの娘の起こした騒ぎを聞いたときはあたくし、いい気味だと思ったわ。なぜってあの人は言ったものだわ。おまえが息子ばかり四人も――いちばん下の子は先の流行病〔はやりやまい〕で死んだのよ――産むから、自分があんな卑しい、小間使いに生ませた娘を探し出して着飾らせて、宮廷へ上げてやらなきゃならないのだって」
「あなたにそんなことを言うなんて」
 マリウスは悲しげに眉をひそめた。
「――だから、ね、名残惜しいのは、その主人についてシャンベリの領地へ戻らなければならないことなの。主人が騎士団員募集のトーナメントをひらくというものだから」
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