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第十二章

第十二章(25)

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 従僕がうやうやしく蓋をあける。臙脂色の絹が張られたなかには鶉〔うずら〕の卵ほどの焦茶色のかたまりが六つ入っていた。
 何の変哲もない、否〔いや〕、醜くさえ見えるその物体を、グラシャスを除く全員が怪訝そうにのぞき込む。
「菓子ですよ」
「――これが?」
 彼らにはとうてい、人間の口にする食べ物とは思えなかったに違いない。菓子といえばもっと色が薄く、透きとおった飴がけがしてあったり、干したり蜜漬けをした李〔すもも〕や梨や林檎〔りんご〕など色あざやかな果物で飾られているのがふつうだったからだ。
「お疑いもごもっともだ。――どれ、私が先に毒見をして差しあげよう」
 言って、グラシャスは宝石でもつまむように、親指とひと指し指でその石炭のかたまりをつまみあげ、口中に放り込むと、噛み砕いた。
 噛みしめた一瞬に広がる、香ばしい香り。
「……では、せっかくですので……」
 宰相候にならって、ほかの貴族たちも(なかばおそるおそる)口に運ぶ。
「これは……そのう、なんとも野趣に富んだ味と申せましょうか……」
「たしかにこれまで食したことのない味わいですな……まだ若い葡萄酒の青臭さというか……」
 皆の顔に一様に驚きが広がるのを、グラシャスは愉快そうに眺めた。
「しかしこれは、丁子ですかな? それに、桂皮?」
 なかなか呑み込めぬらしくしばらくもそもそと口を動かしていたひとりが言った。
「言われてみればそのようだ、なかなかに香り高い……」
「さすが諸兄は舌が肥えておられる」 
 グラシャスは葡萄酒をひと口含んで言う、
「これはキュリアの南東に広がる多島海の島々から取り寄せた木の実を炒って粉にしたものに、いろいろの香辛料を加えたもの。めったにとれぬもので、原住民はその実を神々の食物、若返りの実と言っておるそうな」
 「若返りの実」と聞いて一同の眼の色がそれとわかるくらいに変わる。
 こと金と暇をもてあまし、権謀術数と色ごとくらいにしか真剣になれぬ高位貴族ともなると、肉体の衰えはすなわち現世での愉しみからの追放であった。
「そういえば、風の噂に聞いたことのあるやもしれぬ……キュリアの王族が老いてなおああも子沢山であるのは、門外不出の秘薬のためであるとか何とか」
「おお、それはそれは」
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