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第十二章

第十二章(26)

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「これほどまでに結構なものを、畏れ入ります」一応、座の主となっているモンスティエ侯爵が代表して礼を述べた。「して、陛下には、もう?」
 神秘の木の実がまだあるのならほかの誰にも渡したくないという魂胆がはからずも口調ににじみ出ていた。
「いや、陛下には献上しておらぬ」グラシャスはつとめて何でもないふうに言った。「ここのところなかなかにお目どおりのかなわぬゆえ」
「さようでしたか……」
 皇帝よりも先に希少な品を味わったという背徳的な喜びが、おそらく彼らの口中に唾とともに湧きあがったであろうことをグラシャスは見越していた。彼が珍しい食べ物をことさらに選んで贈るのは、高価な消えものであれば、たとえなにかを贈ったことが露見しても、宝飾品や書状などと違い証拠の残りにくいためであった。
「陛下は我ら近臣の力添えを何と思し召されるやら……」
 グラシャスにすすめられ、口のなかに残る青くささを洗い流すようにワインを含んだひとりが独語のようにつぶやく。
「それもご出自を思えば無理からぬことであろう」
 グラシャスは鷹揚に応じる。
「何と。宰相候のご寛容にも限度というものがあろうが」
「まったく……」
 怨嗟にも似たため息が一座を支配する。
 世襲貴族である彼らの父祖から受け継いだ記憶のなかでは、皇帝の独断専行はあってはならぬものであった。人間が神を必要とするように、神もまた信者を必要とする。豪放磊落なウルバインⅠ世でさえ、重臣たちから“やんごとなき血筋の”皇妃を迎えるよう進言されると、渋々ながらも受け容れたというのに。
「お血筋といえば……」アールミン伯が思い出したようにつぶやく。過日の一件以来、満座のなかで赤恥かくのをブラキストン侯爵に救われてより、こちら側の陣営に加わることを決めたのだ。
「デュヴァル侯爵家の、いまひとりのご当主のほうが――」
 よほど、という思いは口にこそされなかったものの、居合わせた面々にはおのずと通じたであろう。
 ヘルカールは風采もよく、折節には気前よく贈りものを交わし、自らの邸宅で園遊会やら晩餐会やら、ときにはトーナメントをも催し、貴顕と親しくつき合っていた。彼に足りぬのはただその王侯たるふるまいにふさわしい至高の座のみであった。
 今度は宰相候はとがめはしなかった。悠々たる微笑〔ほほえみ〕を唇の端にうかべたのみである。彼は一座の主にふさわしい威厳をもって諸侯を一眸〔いちぼう〕した。
 宰相候のお咎め無しと知るや、我が意を得たりと、
「――と言いますのも、先だって、おかしな輩が申しておるのを耳にしましたものでね。都へ参る際、カルノサという町をとおりかかった折、破〔や〕れ衣の坊主が何やらわめいておりましてね」
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