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第十三章

第十三章(7)

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「くそっ、石頭の田舎者め。……まあ仕方ない、預言者は故郷では歓迎されぬものなのだ」
 街道沿いの居酒屋兼宿屋のすみで、息を詰めるようにひとりごちる。
 あたらしく生まれ変わった姿を見せようと、そば近くで神の教えに触れる機会をもたせてやろうと生まれ故郷を選んだというのに、何たる仕打ち。兄たちも己の高評を耳にすれば、頭を下げて出迎えに来るものと期待していたのに。
「今にきっと、不信心者どもの上には怒りの雷〔いかずち〕が……」
 ぶつぶつ言う彼の前に、給仕女は注文のパンとチーズ、麦酒の杯をおくと、心づけの銅貨一枚すら受け取らず立ち去った――もっとも彼のほうも、そんなものは出すことすら忘れていたのだったが。
 ぬるいビールの泡がすっかり消えるころ、傷だらけの卓にふと影が落ちた。
 目の前に立っていたのは学僧ふうの男であった。灰褐色の頭巾を目深〔まぶか〕にかぶり、腰には種々の鳥の羽やくず糸を編み込んだまじない紐。くるぶしまで隠す灰色の長衣の裾からは、先の尖ったやわらかい革の沓〔くつ〕がのぞく。 背格好からは彼より五つか六つ、年下のようにみえた。
 男の近くに来たのも、まわりが急にしんとした――相変わらず客たちは騒がしく飲み食いし、給仕女は忙しく動き回っていたのだが――のにも、彼は気付かないでいた。
「近ごろ天下に王道を説いて回っていると名高い、カルノサのレジス殿?」
 彼はうなずいた。男はそのまま、
「これほどお近くでお顔を拝見できるとはまことに光栄。ご高名はいまや帝都まで聞こえております……いやまったく。伝え聞くお説の高邁さにわたくしすっかり感服いたしました。それでぜひともじかにお話を伺いたいと……まだしばらくはこちらにご滞在されるのでしょう?」
「……そうだが、そちらは?」
「これは申し遅れました、わたくし、……と申します」
 嵐のなかの叫びのように、男の名は彼の両耳を素どおりした。それでも彼は男の名をたしかに聞いたと思った。
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