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第十三章

第十三章(13)

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雁の月の朝、御前会議がひらかれた。
 今回は、朝議に出席せずにすむ理由の在庫がいいかげん尽きてきたウルバインも顔をみせていた。
 今日も今日とて窓の外は重苦しい黒雲が低くたれこめ、時折、獅子が喉を鳴らしているかのような遠雷さえ響いてくる。皇帝の顔も、それに負けず劣らず、晴れやかだとは言いかねた。
 広間のはるか上方にあけられた天窓からは、陽の差し込むかわりに分厚い雲の緞帳がかかり、雨垂れが水晶の硝子を打つ音が耳障りに反響〔こだま〕する。
黄金色の蜜蝋燭が壁に沿ってずらりと並び、甘い香りを漂わせていた。この場で、明るいものといえばそれくらいであった。
 月に一度の御前会議は会議のための会議でもあることから、宰相ブラキストン侯爵が、通例どおり「すべて帝国はこともなし」であることを奏上した。過日の、掘割川の増水などは皇帝にご報告申し上げるべき事項のリストに載せることすら検討されてはいなかった。
「おそれながら陛下に言上つかまつります」
 曇り空を思わせる灰青色の長衣、くすんだ銀の環を禿げ上がった額に嵌めた壮年の男が進み出て一礼した。深々と拱手した両の手とたっぷりした袖に隠れてはいるが、鷲と雷〔いかずち〕の紋章を縫い取った僧衣は、ディトゥール神に仕える神官のものだ。
「このひと月あまりというもの、晴れるかと思えば曇り、曇ったと思えば雨模様の続いておりますことは陛下をはじめ諸侯の皆々さまにはむろんご存知のことでございましょう。この長雨に、こと宮廷のみならず、下々の民草は寄るとさわると不安を口にしております。こうも長雨の続くようでは、小麦の出来も危ぶまれましょうからな。それは〈霧が丘〉まで届くほどにて……」
 神官は市井の民の不安というやつをくだくだ述べ始めたが、口を挟む者はなかった。そんなことをすれば、皇帝がしゃべっているときに咳をするのと同様、不敬きわまりないことだ。
 謁見の席では、皇弟たる公爵以外、腰かけることを許されていなかったので、宰相以下全員が立ちっぱなしでいなければならなかった。彼らのかろやかな絹の靴となめらかな靴下に包まれた足下にも、湿気と冷気が忍び入ってくるように感じられた。
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