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第十三章

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しかしさすがに、マリウスがあくびを噛み殺し、玉座から離れたところに立つ者たちが苛々と体をゆすり始めたところでようやく、
「……しかれども、ディトゥール神の申し子たる陛下にはすでにお気づきのことやもと存じおりますが、いにしえの御代より、我ら人の子に御神意を示されるにあたっては、まずこうした、人の目には不可思議な方法をおとりになるのが常でございます。するともしや、こたびの長雨もまた、唯一にして偉大なるディトゥール神が我らにお怒……いやいや、何ぞ我らのほうにこそ、お導きを垂れ給うべきことがらのあるに相違ございませぬ。となれば、ここはひとつ、陛下御自ら〈霧が丘〉へ御幸〔みゆき〕字あそばされ、ご神託を賜るのがよろしいかと存じまする」
「……どう思う?」ウルバインはうんざりと、一段下がった階段〔きざはし〕に控える宰相にたずねた。
「それがよろしかろうと存じます」
 聞くまでもないことであった。これまでに、突拍子もない用件が飛び出してきて宰相候の度肝を抜くなどということは期待すべくもなかった。ウルバインはただ、ブラキストン侯爵の承認事項を「よきにはからえ」と言うためだけにそこに居るのだった。
「では行幸の次第は典礼とはかられるように」
「有難う存じます。陛下のお出ましがございますれば、雷帝もいっそうのご加護を給われることでございましょう」
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