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第十三章

第十三章(25)

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「陛下、そろそろ」
 隊長のひとりが耳打ちする。ウルバインがわざわざ、南の〈銀〔しろがね〕の門〉を抜け、都の南西四分の一を回る経路〔ルート〕を選んだのは、雷帝の瞋恚というやつが実際にもたらしたものを目に焼きつけておきたかったからにほかならぬ。
 焼け焦げた〈六花の門〉から出入はできぬため、おかげで彼らは三の郭の〈梟〔ふくろう〕門〉から大回りをして〈苧麻街道〉へ向かわねばならない。最短距離をゆくのに比べ半日は余計にかかるのだ。
 彼はなるたけゆっくり、かつ人目につくように進むつもりであった。ふだんはしようとも思わぬ先触れも、きちんと出している。ゆく先々で“皇帝のおでまし”の報が流れれば、〈天の道教団〉のほうでももしかすると避けてとおらぬものかと思うのだった。
 〈梟門〉から出た一行は進路を北にとり、城壁に沿って進みはじめた。
 といっても壁伝いに道があるわけではなく、郭の外に広がる草っ原を突っ切ってゆくだけである。
 門のすぐわきから、都からあふれ出た人々が石壁を背に小屋がけをしている。門衛が幾度追い払っても無駄であった。寄せてはかえす波のように、人の群れはやがて戻ってきてしまうのだ。
 仮小屋はいくつも連なり、重なりあって、なかにはあいだに細い道さえできているところもある。支柱の黒く焦げた材木は、前からそこにあったものか、あるいは先日の火事場からくすねてきたものか。冬には雪に押し潰されてしまうように見えるこの一帯も、かつて三の郭がそうであったように、やがて第四の郭となる日がくるのであろう。
 ぴかぴか光る騎馬の群れに、戸口に吊るした垂れ布のかげから向けられる視線、視線……。
 近衛騎士たちはつとめて皇帝の斜め前に出、横に並んだ。ここは逃げてきた農民、食い詰め者、鑑札を持たぬ乞食の棲み家であると同時に、ごろつき、暗殺者の隠れ家でもある。
 都の北西、〈黎明門〉のところで〈苧麻街道〉にのる。
 その昔、カステリットがまだ“帝”都でなく、北の地が黒い竜〔ドラゴン〕におびやかされていたころ、この地で産するものといえば苧麻の織物しかなかった。それを負って貧農が市へやって来ることからついた名だ。いまでは各地の行商人、遍歴騎士、ドワーフ族の姿さえ見られる街道上に、しかし、ゆきかう人の姿はない。
彼らは馬を速足で駆けさせた。八十四の蹄の下を大ぶりの敷石がうしろへ飛び去る。
 沈々〔しんしん〕とした道行〔みちゆき〕であった。
 つき従う近衛騎士はくじ引きで選ばれた者たちである。近衛騎士団長が皇帝の言葉を伝えると全員が同道を希望したが、大所帯をひきつれてゆくつもりがはなからない以上、最も公平な方法をとったのだ。真っ先に手を挙げた副団長は、己が選にもれたと知るや、日ごろほとんど感情を表に出さぬあの男が、口惜しさに唇を噛んだという。
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