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小編

小編〔過去編〕(1)

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 その日かの女は、泉へ続く道の途中で下草が踏み荒らされているのを見た。鹿ではない先のまるい蹄〔ひづめ〕のあとと、底になにか尖ったものを埋め込んだ重い靴のあと。
 踏みしだかれた露草と菫〔すみれ〕の青い雫にサンダルを染めながら、かの女は泉へ向かった。
 やがて、白樺が穢れなき乙女のようにその姿を水面〔みなも〕に映すちいさな泉のほとりに、灰色狼のようなものが寝そべっているのが見えた。しかし狼ではない。すぐそばではみごとな栗毛の馬が鞍をおいたまま、たんぽぽをむしゃむしゃやっていたからだ。
 かの女はまず馬に近づき、そっとその首筋や鼻面に触れた。
 馬は草を食むのをやめ、急に現われた見慣れぬ女性に臆することなく、白くやわらかな手に鼻面をこすりつけた。
次いでかの女は足下に目を落とした。
 たんぽぽや金鳳花〔きんぽうげ〕のなかに伸びていたものは、かの女がこれまで、話に、あるいは遠目にしか見聞きしたことのないものであった。
 実際、それはかの女とは、似ているようで全く異なっていた。
 熊や狼の縄張りでもある鬱蒼とした森のなかにあって、かの女は華奢な踝〔くるぶし〕)までを隠す若草色の長衣〔ローブ〕しか身につけていなかった。
 片や、下生えのなかには、頑丈な底に鋲を打った革の長靴〔ブーツ〕を履いた脚が突き出し、幅広の肩のあたりにはくすんだ色の外套が鳥の巣のようにくしゃくしゃとひとかたまりになっている。腰にきつく巻かれた帯には、ふくらはぎの半ばあたりまである剣が吊るされている。
 きわめつけはうなじを越えてのびたもつれた黒髪と、日焼けした顔一面を覆う黒い髯であった。太く真っすぐな眉の下の目は、いまは閉じられ、何色の瞳の持ち主なのかは定かならぬ。
(戦神〔ヴォルト〕に似ているわ、久しくお姿を目にしてはいないけれど)
 とかの女は思った。
〈これはおまえのご主人?〉
 馬に問う。
 栗毛はかの女の言葉がわかっているかのようにやさしく鼻を鳴らした。
 かの女は持っていた梣〔とねりこ〕の長杖をかるくひとふりした。
 すると、二十一貫〔約80kg〕はあるかと思われた男の体がふわりと浮き――それでも、羽根布団にくるまれてでもいるかのように彼が目を覚ますことはなく――そのまま、麻袋でも積むように馬の背におさまった。
 そうして、手綱もとらぬのに、かの女が歩き出すと馬もついてきた。
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