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小編〔過去編〕(8)

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 翌日も、その翌日も、ふたりはともに出かけた。
 イレーンといると、不思議と疲れも感じず、木の根や蔦の絡みあう獣道であっても驚くほど森の奥深くまで行って戻ってこられることに彼は気づいた。彼が彷徨っていた数日というもの全く姿を見ることのなかった鹿の母仔〔おやこ〕や、きつつきや、ふわふわの毛並みの仔狐も、すぐそばの木立を跳ね回るのだった。
 ここに弓矢があったならみごと射止めてみせるのに、とエヴァラードは内心口惜しがったが、かの女の手づから餌をもらう牝鹿を前にしてはまさか口に出すわけにはゆかなかった。
 物欲しげな眼差しに気づかれたのか、どうか。イレーンは彼に、糸になる樹皮をもつ樹や、薬となる草木や、食べられるきのこを教えた。
 が、ことこの点に関しては、エヴァラードはもの覚えの良い生徒とはとてもいえなかった。彼が得意げに差し出したきのこは、ひと口齧れば三日三晩は悪夢を見るものであったり、触れれば爛〔ただ〕れるものであったりした。なにより彼は、パースニップと毒人参の区別すらできないというのだから!
「……しかたないでしょう、俺は生まれてこのかた、己の口に入れるものを己で選んで摘んだためしなどないのですから」
 籠いっぱいの毒きのことおさらばするはめになり、彼がいくぶん肩を落とすと、
「では、あなたがこの森にお入りになったとき何も口になさらなかったのは、かえって賢いやりかたといえるでしょう」
 かたやイレーンはといえば、エヴァラードには名も知れぬ花をひとつ摘んでは、蜂鳥〔ハチドリ〕さながらに、ちゅっと朱唇を尖らせ蜜を吸ってみせた。彼がやろうとすると、茎ごと引きちぎってしまうのがおちだったが。
 しかしそれでは俺のできることといったら何もなくなる、と焦ったエヴァラードは、こう申し出た。
「俺はあなたのお役に立ちます。あなたの身を守れますよ」
「何から?」
「たとえば――猪の牙から」
「秋になれば松露を見つけてくれる彼らからですか?」
「では――熊」
「一番おいしい蜂蜜のありかを教えてくれますのに?」
「それなら……狼。そうだ、狼は?」
「エヴァラード」幼いころ、母親から叱られたのを思い出させるような声音だ――「わたくしだって、きのう生まれたわけではありませんのよ」
 森のなかで暮らすかの女がどこでそんな言い回しを覚えたのだろうといぶかりつつ、
「失礼、そういうつもりでは……その、人間〔われわれ〕の世界では、ひとりでいる女性を守るのが男のつとめとされているものですから」
「そうなんですの?」
「ええ、とくに、あなたのように若くてきれいな女性はなおさら」
「若さや美しさに何の価値がありますの?」エルフの娘は小首をかしげた。
 触れなば妙なる音色を奏でそうな金の髪が木漏れ日を反射し、かの女そのひとが太陽の女神になったようだ……。
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