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小編

小編〔過去編〕(21)

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ふだんならば、訪れたときには庭園や回廊をそぞろ歩きするところだが、馬をかえすとすぐ、イレーンは勝手知った控えの間で衣服をあらためた。女王は身内であるし、この宮廷で、たとえ蹄鉄工が革の前掛け〔エプロン〕をつけたまま現われても、なりで判断するようなことはないとはいえ、かの女にはそうすべき理由があった。
(着替えもせずに御前に出たほうが、わたくしがおばあ様の命に急ぎ従おうとしたのだと思っていただけるかしら? それともかえって敬意を欠いたと、こちらのお話も真実とりあっていただけなくなるかしら? ……いえ、イレーン、あなたは何を考えているの……おばあ様は、そのような狭量な考えかたはなさらないわ……)
 白樺が大理石の円柱のごとく立ち並ぶ回廊を、かの女は足早に抜けていった。
 太い木の根で編んだような複雑な文様をうきあがらせた扉の先が、女王の間であった。
 扉の前には揃いのお仕着せをまとった衛士が立っていたが、女王に害なす輩を防ぐためというよりも、女王が玉座にましましているかいないかを判断するためのしるしのようなものにすぎなかった。むろん、女王の孫娘の姿を認めた彼らは――扉も――すんなりとかの女をとおした。
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